写真家・カメラマン　上重泰秀

GROUND ZERO

「１4年の時間」
私は９月１１日、飛行機がWTCに激突、ビルが崩壊して騒然となるダウンタウンを歩いて１周しその様を記録した。それから１4年の時を経て今、そのグランドゼロを当時と同じように歩いてみた。
真っ青の青空に白い雲が浮いていた。とても気持ちがよい。ここは１０年前の同じ日、ワールドトレードセンターに続く渡り廊下が崩落し鉄骨の残骸が渦巻く黒い煙の中に見えていた場所なのだ。
この１０年でグランドゼロ周辺は大きく変わった。新しいビルが立ち並び、木々は育ち当時の面影を変えていた。数年前に第７ビルが出来上がり、現在は２棟のフリーダムタワーの建設が進んでいる。昨年はメモリアルミュージアムも完成し、私の写真もコレクションされいる。
１４年の歳月は街におおきな変化をもたらしたが、それは風化と言う記憶の後退も同時にはじまっている。私の写真は当時を切り取った貴重なカット見てもらえる事で少しでも何かを感じてもらいたい。

吸殻くんBOOK

海岸には多くの吸い殻が落ちている。この「吸い殻」で「何か出来ないか」と考えた。試行錯誤の末、人形を完成をさせたのが2013年1月。初めての撮影は東浜の足跡のないコントラストの強い浜。撮影してみると、月面を探検する宇宙飛行士のような不思議なカットになった。擬人化に成功したカットはどれも小さな生命が宿っているような写真だ。今回写真集と言う形で大勢の方の目に触れる事になる。そしてこれが小さなきっかけとなってポイ捨てが減るのなら、写真を通じて皆さんにメッセージを伝える事が出来て本望です。